史跡の再活用

2013.6.29

京都・鴨川に沿って高瀬川(たかせがわ)がある。
高瀬川は江戸時代の初め頃に開削された運河で、車のなかった当時は物資の運搬や人の往来に使われたものだ。
日本は不思議と「馬車」が発達しなかった国で、とくに物資の運搬は水運に頼っていた。

大坂から淀川を遡ってきた船が高瀬川を経由して京の都に着いた最終点「船入(ふないり)」(荷物のあげおろしをする“港”)がいまも残っている。
高瀬川一之船入(たかせがわいちのふないり)」という。

私は京都に生まれ育ったし、この「高瀬川一之船入」とかいうところがあるとは何度も聞いていた。
しかし 実際に見るのは生まれて初めてだ。

きょう、家内の友人が我々夫婦をお茶に誘っていただいた。
その “カフェー” がなんと、その「高瀬川一之船入」の遺跡を利用して水辺にあるのだった。
話には聞いていた歴史上の遺跡を目の当たりにして感激し、その史跡がうまく活用されているのを見て驚いた。


2013.6.29

向う(背景)は“布団着て寝たる姿”の東山の稜線。
その手前の、見様によっては人の顔みたいに見えるレンガ造りのビルが目障りだが、まあ仕方がない。

きょうの京都は最高気温が30℃を超える暑さだったが、水面(みなも)を渡る風は爽やかで心地よかった。

いま私の立っているまさにここで、江戸時代には物資のあげおろしで賑わったことだろう。
森鴎外の有名な高瀬舟の主人公もここで乗船させられたのかもわからない。
いまはそんな歴史のさまざまな動きを忘れたかのように、“カフェー” では時間がゆったりと過ぎて行くのだった。

2013.6.29











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名前が しょうじ なので障子が背景となっている。ペンネームはアルファベットで shochan(しょうじの愛称)だが数字 31 の由来は不明だ。

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