人類の至宝

2014.3.10

昔はクラシック音楽大好き青年だった私だが、30代以降は日常生活に忙殺され、世間の(ちり)にまみれゆっくり堪能する機会を失ってしまった。
きょうは久しぶりにクラシック音楽に(ひた)れた。

しかも前から9列目のちょうど真ん中で最高の席だった
S席 ¥5,000 はお値打ち

京都コンサートホール
ホールに到着

オーケストラはポーランド・シレジア・フィルハーモニー管弦楽団

最初の演目は「コリオラン」(ベートーベン作曲)。
私にとってはほんとに久しぶりだが聞き慣れた懐かしいメロディーだ。
小規模だけどフルオーケストラで、音はよく出る。
指揮者はミロスウァフ・ブウァシュチェックという読みにくい名前の方だ。

次いで「皇帝」(ベートーベン作曲ピアノ協奏曲第5番)。
ピアニストは京都出身の高木智寿子という人。
堂々と、そしてキリリと引き締まった演奏だ。
ふつうは第一楽章で拍手はないが、会場から思わず拍手がもれた。
それほど感動を与えた演奏だった。
第二楽章はピアノソロの歌うような甘美なメロディーで始まる。
私は iPod に入れて寝る前に時々聞いいている。何度聞いても飽きないベートーベンならではの名曲だ。
最終楽章となるとピアニストの高木さんも曲に陶酔したかのように演奏されて、私も聞き惚れてしまった。
ピアノとオーケストラってよく合うもんだ。

最後は「エロイカ」(ベートーベン作曲交響曲第3番)。
第一楽章は猛スピードで指揮者が持つ指揮棒が飛びはしないか心配したほどだった。
ところが次の Marcia funebre (葬送行進曲)はゆっくり厳かに進む。
第三楽章はスケルツオで転がるような軽快さ。アクセントが効いているてベートーベンらしいオーケストレーションだ。
ピチカートで始まる最終楽章も色彩豊かなベートーベンサウンド。
演奏する側は「またかよ」と思っているかも分からないが、聞く側としては決して飽きさせない変化があって、ベートーベンといえども「またかよ」とは思わない。
緩急とりまぜたメロディーと言い、楽器の起用と言い、色彩豊かなこの曲は、ベートーベンの九つの交響曲の中では『最高』の作品ではないかと思った。

ベートーベンで完成の域に達したオーケストラ曲。
それから200年。「皇帝」「エロイカ(英雄)」はいまだに飽きのこない、まさに人類の至宝だと思った。
至福の時を過ごせた。

ポーランド・シレジア・フィルハーモニー管弦楽団 指揮はミロスウァフ・ブウァシュチェック
2014.3.10

アンコールにはエロイカ最終楽章の一番最後の部分を“再演”してくれた。
こんな“再演”するアンコールは初めてだが、いいものは何度聞いてもいもんだ。

終わって外に出たら真っ暗な空に小雪が舞っていた。
冷え込む夜だが、興奮して上気した体には心地よかった。

2014.3.10




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Author:shochan31
名前が しょうじ なので障子が背景となっている。ペンネームはアルファベットで shochan(しょうじの愛称)だが数字 31 の由来は不明だ。

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