岸壁の母とストラディバリウス

2015.1.24

きょうはお寺の新年会があった。
余興に踊りが披露された。
題目は『岸壁の母』

岸壁の母の名演
岸壁の母の名演

何度も聞いている歌とメロディーなので、別に珍しくもない曲だ。
しかしきょうは、年老いた母を感情豊かに表現する踊り、低音の響く浪曲調の伴奏に乗せられた歌詞を聞きいているうちに、目がうるんできた。

  〽 母は来ました きょうも来た
    この岸壁に きょうも来た ・・・

理不尽な戦争に狩り出され、ソ連によって不法に抑留されたわれら日本人。
生きていると堅く信じて待ちわびる母。

もしやもしやにひかされて・・・ 
海より深い母の愛
いつもは何とも思わない私だが、きょうはこの曲に涙した。

小学校の頃、国鉄山陰線、小浜線経由で福井県の田舎に行った。
途中、舞鶴付近の線路沿いに『お帰りなさい、お疲れさまでした』の大きな看板が掲げられていたのを思い出した。
興安丸が舞鶴に帰ってきた当時、興安丸の動向を地図入りで報道していた当時の新聞を思い出した。
その地図は対馬海峡付近と記憶しているから、ソ連からではなく、中国からの引き上げだったんだろう。
いま調べてみたら、 1953年(昭和28年)3月のことだ。
小学5年のときだ。

そんな時代もあったんだ。
国家による戦争、犠牲になるのはいつも庶民。
我が国は、もうそんな悲劇は二度と繰り返さないと信じたい。

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そのあと、バイオリンコンサートに行った。
京都の古い町家を改装したレストランがその会場だ。
演奏は松野迅という方で、結構有名なバイオリニストだそうだ。
そして楽器がストラディバリウス。

ストラディバリウスの名演
ストラディバリウスの名演


演目は、シューマンのトロイメライ、ドボルザークのユモレスクなど有名な小品が多かった。
最後はモンティのチャルダッシュで盛り上がった。
violinconcert160.jpg間近で聞かせてもらったので、弦のこすれる音まで聞こえた。
これがストラディバリウスかっ !

中でも面白かったのは宮城道雄の有名な 『春の海』 の、バイオリンとピアノの二重奏。
お正月によく演奏されて耳に馴染んでいるのは尺八とお琴の二重奏だが、松野迅さんによると、バイオリンとお琴(ピアノ)バージョンもあるという。
でもそれは、著作権を持っている宮城家がレコード化を認めないので、余り知られていないという。
そうだ、私も聞いたことがない。
宮城道雄死後50年経ったので、これからはバイオリンとお琴(ピアノ)バージョンも演奏されるようになるだろうと松野迅さんは説明してくれた。

『春の海』 を改めてきょう聞いてみると、なかなかモダンで、難曲だ。
宮城道雄の独創性に感心した。
緩急自在のこの曲にリズムがあるのだろうかと思って、演奏後にピアノ譜を見せてもらったら、「C」がついていたので四分の一というリズムはちゃんとあるらしかった。

宮城道雄死後50年というので思い出した。
東海道線の夜行列車で転落死した、と当時新聞記事を読んだのを思い出した。
いま調べてみたら、 1956年(昭和31年)のことだ。
中学3年のときだ。

きょうは舞鶴の引き上げ、宮城道雄の転落死と、50年以上昔の古い新聞記事を思い出した一日だった。

2015.1.24





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岸壁の母とストラディバリウス (2015.1.24)
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