京都検定のお勉強

2015.11.1

私は京都に生まれたので京都のことはたいがい知っているつもりだった。
40年以上も留守していて、3年前に京都に帰ってきた私だが、歴史や文化などけっこう知らないことがあるなと思うことが多い。
歴史が幾重にも重なっていて、文化も複雑で、いろんな情報が錯綜し、京都は複雑極まりない。
そんな複雑な京都について、トリビア度をテストするという 『京都検定』 が来月ある。
受験を申し込んだが、情報が多すぎる上に、歳のせいで 覚えてもすぐ忘れる。

実際に見た方が身につくかと思ってきょうはお勉強に出かけた。
行ったのは妙心寺。
京都の西の方、花園の地にある禅宗(臨済宗)の名刹。
門前は子供のころからもう数えられないくらい何度も通っているが、境内に入るのは初めてだ。

ガイドさんに案内してもらった。
境内は三門、仏殿、法堂(はっとう)(おお)方丈が一列に並ぶ典型的な臨済宗の伽藍(がらん)配置だという。
なるほど~ ひとつ勉強になった。

三門、仏殿、法堂、大方丈が一列に並ぶ伽藍配置
なるほど、三門、仏殿、法堂、大方丈が一列に並んでいる

まず案内されたのが法堂(はっとう)の中。
天井に描かれているのが狩野(かのう)探幽の筆になる 「雲龍図」 。

雲龍図
「雲龍図」と法堂(はっとう)

狩野探幽は二条城二の丸御殿の障壁画を描くなど江戸時代初めに当代随一と言われた画家兼プロデューサー。
それが8年もの歳月をかけて描いたという。
ohjiki_cho_809.jpgどこから見てもこちらを向いているように見えることから 「八方にらみの龍」 とも言われるとのこと。
想像の動物を おどろどろしく、しかし一方で 厳粛な感じにも 描いた技量は大したもんだ。
国宝になっていないのがおかしい位だ。

ところが、この法堂の中に国宝があった。
それは、『黄鐘調(おうじきちょう)の鐘』。
記年銘のあるものとしては日本最古の鐘だという。
西暦698年というから飛鳥時代だ。
えらい古い。

よく見ると(にゅう)が4個取れていた。
(写真撮影禁止なので、右の 写真はお寺でもらった 説明書 から拝借した。この写真では乳は1個しか取れていないが・・・。)
ガイドさんの説明だと、1973年(昭和48年)までは毎年NHKの「行く年来る年」の冒頭でこの 鐘の() が全国放送されていたという。
乳が取れたので、これ以上()くと ヤバイ となったのか、いまは別に新しく鋳造した鐘に替えられているそうだ。

当時の 「行く年来る年」 で放送された鐘の()を録音したのを聞かせてもらった。
一同シーンとなって聞き入った。ゴワーン というより カーン といった感じの音色だった。

兼好法師が 『徒然草(つれづれぐさ)』 (220段) でこの鐘の音色をほめているそうだ。
     (およ)そ鐘の音は黄鐘調なるべし。これ無常の調子、祇園精舎の無常院の声なり。
黄鐘(おうじき)というのは、雅楽十二律の音階で、西洋音楽のA(ラ)に相当するという。
西洋音楽の基準音(A)が祇園精舎の鐘の声と音階が一緒だったとは・・・
いろいろ勉強になる。

次に案内されたのが浴室。
信長を討ったあと、ここ妙心寺に引き上げてきた明智光秀は、もう思い残すことはないから自害しようと仏殿に礼拝して辞世をしたためた。しかし、妙心寺の僧が自刃(じじん)を戒めた。光秀はその後(山崎の合戦ののち)小栗栖で討たれたのは有名な話。
明智光秀の叔父(密宗という妙心寺塔頭の僧)が光秀の菩提(ぼだい)を弔うために建てたのがこの浴室だという。
だから 『明智風呂』 と呼びならわされているが、光秀が使ったものではないという。

井戸、水槽、釜、浴室、洗い場、脱衣所等よく残っていて、当時のお風呂 (蒸し風呂) の構造がよくわかった。

外へ出て振り返ると、屋根の上に煙り出し (いわば煙突) が見えた。
鬼瓦と漆喰の立派な造りに感心した。

浴室
浴室、通称 「明智風呂」

とおりかかった団体のバスガイドさんは 「明智光秀が入浴したお風呂です」 と説明していた。
そりやーこの方が説明しやすいし、聞く方も理解しやすい。
これが 瓢鮎図変なところで感心した。

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さて、妙心寺の塔頭に、瓢鮎(ひょうねん)図( )を所蔵する 退蔵院 がある。
昔から何度も聞かされてきたのでよく知ってはいるが、いざ来てみると、普通の塔頭で、へぇー こんなとこか、っていう感じ。

瓢鮎図は教科書にも載るくらい有名な絵だが、ちょっと変わった絵で 私には強く印象に残る1枚だ。
絵とは言っても半分は文字(と印鑑)。
(この部分は 「画賛」 で、もともと衝立の表裏だったのを1つの軸装にして、こうなったそうだ ヘェー)
ひょうたんを持つ男はイノシシみたいな風貌だ。
ナマズは、捕まえられるものなら捕まえてみろ、といわんばっかりに気持ちよく泳いで(?)いる。
現物は 京都国立博物館に寄託されていて、ここにないことは知っているし、実際 去年も同館で見ている

瓢鮎図はなくてもいいから どんなとこか拝観させてもらうことにした。

退蔵院の山門(薬医門)
退蔵院に入る

入るとすぐ庫裏(くり)の前にある夏椿(沙羅双樹)がきれいに色づいていた。

沙羅双樹の紅葉、退蔵院の庫裏前の庭
きれいに色づいた沙羅双樹の木4本

もらったパンフレットを見ると、退蔵院にはお庭が二つあり、四季折々の花や植物でも見ごたえがあるようだ。
枯山水庭園と、水を使った余香苑(よこうえん)
そうだ 京都、行こう キャンペーン退蔵院は瓢鮎図だけではなかったのだ。

余香苑(よこうえん) というお庭には入口の門をくぐると目の前に立派なしだれ桜があった。
満開の頃は見事で、2013年春のJR 「そうだ 京都、行こう」 キャンペーンのポスターで紹介されたそうだ。
しだれ桜が大きすぎて写真撮影には苦労しただろうなと思った。

余香苑には水琴窟もあった。
耳を澄ますとビーン、ピーンという音が聞こえた。

埼玉県から来たという男性は、こうしたらよく聞こえる、と言って柄杓(ひしゃく)で水をザーザーかけていた。
うーん、確かにピン、ピンと派手に鳴り響いていた。
まぁ、そこまでしなくても・・・ という感じだった。

水琴窟、退蔵院・余香苑で
水琴窟に柄杓で水を遣る

ま、人それぞれ楽しみ方があるというもんだ。

2015.11.1














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名前が しょうじ なので障子が背景となっている。ペンネームはアルファベットで shochan(しょうじの愛称)だが数字 31 の由来は不明だ。

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