国宝候補

2016.5.3

ウチの近くにある相国寺(しょうこくじ)で、法堂(はっとう)の天井に描かれた 蟠龍(ばんりゅう)図 が見られるというので行ってみた。

解説があった。
蟠龍図は、龍が空に舞い上がる前の状態だという。
雲龍図は、龍が空に舞い上がって雲の中にいる状態で、異なるのだという。
(りゅう)にふたつのいいかたがあるのは知っていたが、大して気にもとめていなかった。
へぇー、そうだったのか。

狩野光信(狩野永徳の子)の筆になるというから古い。
解説によると、京都に数ある蟠龍図・雲龍図の中では最古だ、というのもうなづける。

法堂が建てられたのもその頃で、それ以来焼けてないという。
京都は昔火事が多かった。
中でも天明の大火は京都じゅうを焼き尽くしたという。
それでも焼け残ったというから驚く。
だから、我が国最古の法堂だという。

国宝かと思ったら、まだ『重文』(重要文化財)だという。
これは早々に国宝に指定されるのではないかと思った。
解説者も、そうですね、とニッコリうなづいておられた。


鏡天井に描かれた 狩野光信の蟠龍図

八方睨みだというが、それはよくわからない。
どの蟠龍図・雲龍図でもそんなことを言われる。

それよりも確かだったのが「鳴き龍」。
指定された場所で手を叩くとキーン・キーンと反響した。
解説者によると、天井板(建築用語で「鏡天井」という)が真ん中で10cm程高くなっていてドーム状になっているという。
そんなことまでよく計算されたものだと感心した。

「京都に数ある鳴き龍の中では一番よく鳴り響きます」という解説者の説明も納得できた。

続いて方丈(ほうじょう)に案内された。

感心したのは、真ん中の部屋に掛けられた観音菩薩像で、輪郭から衣装まですべて法華経(ほけきょう)の経文で描かれているという。
江戸中期、遠塵斎という人の作だという。
芸術的に優れたものかはわからないが、技巧としてはすばらしい。
実物は遠くでよくわからないので、写真コピーが手前に展示してあった。

解説者の言われるとおり つぶさに見てみたが、なるほど・・・ そのとおりだった。

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法華経の経文で描かれた「文字絵」というものだそうだ

方丈前の廊下の突き当たりには、原在中の杉戸絵、白象図があった。
去年、琳派300年ということでよく見た俵屋宗達の白象図に似ていた。

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杉戸に描かれた 原在中の 白象図

方丈の裏に回ると、深山幽谷を表したという枯山水庭園があった。
うしろを築山にして崖に模すという工夫がなされていて、市中にあって 深山幽谷とは面白い。

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方丈の裏(北側)にある庭

相国寺は ウチの近くにありながら、法堂や方丈などは拝観したことがなかったが、見どころが多かった。

帰り際、さきほどの解説者が 「法堂は横28メートル、高さ22メートルもある大きいもので、その大きさを、あとで外に出たら見て実感してください」 と言っていたのを思い出し、法堂を改めて見てみた。

近く国宝に指定されそうな気になった。

shokokuji_418.jpg
うん、たしかに大きい


2016.5.3



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ただし、2015年以降、2014年以前はこちら

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