大徳寺を訪ねる

2016.5.21

京都の各寺院で行われている 「春の特別公開」 があすで終わる。
それできょう午後、ふだんは見られない大徳寺の法堂(はっとう)の天井龍と唐門(からもん)を見に行った。

特別公開の入口

法堂の天井龍(雲龍図)は、妙心寺の法堂と同じ狩野探幽筆(かのう・たんゆう)の作という。 ( 妙心寺の法堂は こちら
狩野探幽といえば、あの二条城二の丸御殿の障壁画を描いた大絵師だ。

京都の各禅寺には古今の名画泊が腕を(ふる)った天井龍の名画が描かれており、同じ画材ながら、各々が(けん)を競っている。
ただ、「鳴き龍」だとか「八方睨み」だとかややこしいけれども ・・・。

ここは「鳴き龍」なので、ガイドさんから手を叩くコツの説明を受けたあと、ひとりひとり手を(たた)いて確かめることができた。
緊張のせいか、うまく叩けない人もあって周りの人の笑いを誘っていた。

うまくポーンと叩けば、キンキンキン・・・ と反響する。
手を打った本人以外の周りでもよく聞こえた。

つい先日、相国寺(しょうこくじ)、法堂の天井龍(蟠龍図)を見に行ったことがあったが、ここも 「鳴き龍」 で、そのときは「この龍が京都で一番よく鳴り響く」と説明されていた。( 相国寺の法堂は こちら
しかし、こちらの大徳寺もなかなかのものだ。
相国寺といい勝負じゃないか。

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次いで 国宝の 「唐門」。
この門は方丈側からも見られるのだが、その場合は遥か遠くから眺めることになるので、せっかくの細部までよく見えない。
きょうは 「特別公開」 ということで、初めて間近にまで行って見ることができた。

解説者が彫刻された細部をひとつひとつ指差して説明してくれた。
孔雀(くじゃく)、龍、仙人、鯉、象、(ばく)(しん) ・・・ 

唐門(国宝)
聚楽第の遺構と伝わる唐門(国宝)

目をこらさないと分かりにくいのもあり、じっくり見ていたら日が暮れるから 「日暮(ひぐらし)門」 と呼ばれる、と。
そういう話はよく聞くので、これまで漠然と「なるほど そうか」と思っていたが、彫刻された動物を実際探してみると結構時間がかかるので、日暮門はあながち誇張でもないかな、と思った。(もちろん、じっくり見たところで 日が暮れるまで長くはかからないだろうから、誇張には違いないけど)
(しん)は想像上の動物で、(口から)気を吐くので、蜃気楼という ・・・」 などと、分かったような、しかしよく考えたら分からない説明もあって苦笑した。

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堪能して帰ろうとしていたら境内に 黄梅院(おうばいいん) という 塔頭(たっちゅう) があって、そこも 「特別公開」 されているという看板が目に入った。
まぁ、あまり興味はなかったが、ついでなので見せてもらうことにした。

ohbai-in_731.jpg

門をくぐると新緑のカエデと杉苔のやさしい風景が目にとびこんできた。

ohbai-in_732.jpg

中はとても広くて、ずーっと渡り廊下でつながっている。
へー、日頃の手入れも大変だろうなぁ と同情した。

中に 「直中庭(じきちゅうてい)」 という庭があった。
千利休が作ったという。
彼の才能はお茶だけではなかったのだ。

主人、豊臣秀吉のシンボルである瓢箪(ひょうたん)を形どった池を真ん中に、不動明王に見立てた巨石(比叡山から持ち帰ってきたという)を配している。
一面杉苔の庭だ。

jikichu-tei_724.jpg
庭園(パンフレットより)  やや左に朝鮮灯篭が見える

私は、頂いたパンフレットの解説を読みながらひとつひとつ納得していた。
『左にあるのが 加藤清正伝承の朝鮮灯篭で ・・・』 うん、なるほどあれか・・・ と独り言を言っていたら、そばにいたガイドさんが 「韓国伝承のことは言わないようにしてる」 と私にそっと耳打ちをしてくれた。

韓国からの観光客も来るが、彼らを不必要に刺激しないためだという。
へぇー、ガイドさんもいろいろと苦労があるんだ。

とくに期待もしないで入ってみた黄梅院だったが、意外に大きい敷地に多くの庭園や茶室、そしてその他の歴史的遺物も多く、とても見ごたえがあるお寺だった。

ゆっくり見ていたら閉門時間(午後4時)になってしまった。
多くの観光客が帰って静まり返った黄梅院をあとにした。

2016.5.21





【過去の関連記事】 見て歩る記 京都編(京都府も含む)
ただし、2015年以降、2014年以前はこちら

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