カメラOKのお寺

2018.12.9

きょう所用ででかけたとき 時間までにちょっと余裕があったので、目的地近くのお寺 『建仁寺』 に寄ってみた。

建仁寺
拝観料を払うと入場券のほかにこんなパンフレットがもらえる

パンフレットに書かれた 「京都最古の禅寺」 というのが、このお寺のキャッチフレーズらしい。

京都には名刹・古刹が多いが、市内各所にあるお寺は近くに散在しておりいつでも拝観できるのでありがたい。
拝観料を払うと入場券とパンフレットがもらえるが、その際 「写真はご自由に撮っていただいて構いません」 と言われた。
大体、京都のお寺はどこでもお庭などは撮影OKだが、室内は撮影禁止のお寺もある。
そんななかで、とくにこちらから聞きもしないのに 「撮影OK」 を強調されたのには驚いた。

靴を脱いで本坊に入るとまず 『風神雷神図』 がお出迎え。
レプリカである。
なるほど、それで自由に撮影OKなんだ。

風神雷神図屏風
わが国で最も知られた絵画のひとつ

いまやケータイにカメラ機能がついているので、カメラを持っていなくても誰でも気軽に写真を撮ることができる。

私の若いころは、フィルム感度が低いので室内ではフラッシュを必要としたし、戸外でも天気を見ながら、『ASA64で、シャッター 125分の1なら 絞り 8 ・・・』 とか、フィルムの外函にある表を見て考えながら写したもんだ。
距離も自分で合わせる必要があった。
その後「露出計」が出て、私もよく愛用させてもらった。
それがいまやオートフォーカス、自動露出。
モニターですぐ結果を見られ、気に入らなかったらすぐに消せる。
まぁ、なんと便利な世の中になったものか。
猫も杓子も写真撮影だ。
お寺の 「撮影OK」 という方針は素晴らしい。
撮って帰った写真を人に見せたらいい宣伝になる。
ほとんどの人はどうせ商業的に使えるようないい写真は撮れていないのだ。 ( ← もちろん、セミプロ級のような人は別だが。)

そんなことを思いながら奥へ進むと、もみじが色づいてきれいなお庭があった。
「潮音庭(ちょうおんてい)」 と名付けられた庭だ。
庭の北側、大書院から見るアングルが一番人気があるようだ。
ちょうど逆光でもみじがきれいに見える。

建仁寺潮音庭
大書院から見る潮音庭

実はこの大書院にも 『風神雷神図』 があるのだが、ほとんどの人はお庭の方に気をとられている。

大書院
うしろの 『風神雷神図』 を見る人はまばらだ

『風神雷神図』 はすでに 最初の部屋で見ているから、あまり興味が湧かないのだろうか。
こちらもレプリカらしいが、さきほどのと違って、こちらは屏風仕立てにしてあるので、より本物に近い(と思う)のだが。

風神雷神図
屏風仕立ての 『風神雷神図』

惜しいことにガラスが反射してうまく撮れない。
このことも計算づくで 「撮影OK」 なんだろう。

さてこちらも潮音庭だが、上記の大書院からとは違う角度で見たところ。

潮音庭
別の角度から見る潮音庭

お庭は廊下や建物に囲まれており、どの方向から出も鑑賞できる。
なかでも人気のアングルは大書院から見た景色だった。
しかし、蹲踞(つくばい)のある こちらのアングルもいいもんだ。

入口で 「撮影OK」 を強調されたせいでもなかろうが、このお寺では あっちもこっちも写真を撮る人でイッパイだ。

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さて、拝観コースには 法堂(はっとう)も含まれる。
法堂に回ると、その天井に 大きな2頭の龍(りゅう)が描かれていた。

ふつう、禅宗のお寺の法堂には 龍の天井画がある。
しかし、「阿」「吽」 2頭の龍が描かれるのは珍しいのだ という。

双龍
左の口を開けているのが 「阿」、右の口を閉じているのが 「吽」

龍は恐ろしい顔つきだが、じっと見ていると どこか哲学的な顔に 親しみがわいてくるから不思議だ。

左の 「阿」 の龍は、手に玉を握っている。
爪が5本ある。
聞くところによると、中国の龍は爪が5本、朝鮮に渡ってくると4本、そして日本の龍は爪が3本だという。
へぇー
ところがこの龍は中国オリジナルと同じ5本。
まぁ これは、画家(小泉淳作さん)独自のセンスによるものだろう。

さて、時間の余裕が もうあまりなかったので、最後に方丈の南側に広がるお庭 「大雄苑」 を見て建仁寺を後にした。

方丈庭園
方丈 前庭 「大雄苑」

カメラOKのお寺 なので思う存分写真が撮れて、観光客も大満足らしかった。

私もこのブログのために写真が撮れてよかった。

きょうの私でした。

2018.12.9




【過去の関連記事】 見て歩る記 京都編(京都府も含む)
ただし、2015年以降、2014年以前はこちら

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