一服の清涼剤

2019.6.16

『祇園精舎の鐘の声、諸行無常のひびきあり。
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。
猛き者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵におなじ。』

沙羅双樹は早朝に白い花が咲き、夕方には落花するため、「平家物語」を創作した琵琶法師たちは、その短い花の命に人生の儚さを感じたようだ。

きのう京都御苑に行ったら夏椿が咲いていた。
この夏椿が日本では沙羅双樹とされる。
緑のみずみずしい葉と白い花は、初夏における 一服の清涼剤 だ。

沙羅双樹

夏椿
きのう京都御苑で (2019.6.15)

市内の東林院の庭にも沙羅双樹(夏椿)があり、きのうから公開されていると聞いたので行ってみた。

東林院
東林院に向かう

参道は閑静だったが、庭に面した本堂の縁先は観光客であふれていた。
いま、京都の観光地はどこへ行って外人ばかりだが、ここは純日本だ。

東林院
みんな静かに庭を見ていっぷく

東林院
夏椿の庭の全景

私の隣に座った女性は 「一休寺にも(夏椿が)あります」 とつぶやいていた。
聞けば一休寺の近くから見に来たという。
一休寺といえば、京田辺市といって同じ京都府とはいえ、えらい遠い所にあるお寺だ。

別の女性は 「(この庭には) もっと太い夏椿があったのに ・・・」 とお寺の人に聞いていた。
お寺の人は 「あれは枯れました、いまのは実生から大きくなったものです」 と答えていた。
へぇー、実生がもう こんなに大きくなったのか。
相当昔の話だな、と思ってその女性に聞いたら 「もう40年以上も前です」 とのことだった。
「昔は観光客もめったに来ないお寺やったのに ・・・」 と昔に思いを馳せていた。
いまは、観光客でいっぱいだ。

東林院
抹茶とお菓子が出た

入場料は抹茶とお菓子付きで¥1,600 だったが、実質1本の夏椿の花をみるだけだから、高いなと思った。
ただ、建物やお庭の維持にお金もかかるから、致し方ないか。
東林院のご本尊は観音さんだったが、拝む人を見かけなかった。
宗教寺院というより、観光地だった。
ま、そういう私も観光客なので、偉いことを言える立場じゃないが …。

2019.6.16








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名前が しょうじ なので障子が背景となっている。ペンネームはアルファベットで shochan(しょうじの愛称)だが数字 31 の由来は不明だ。

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