小野道風の柳

小野道風 | 柳 | 東寺2021.4.23

きょう東寺に行ったら、境内に 「小野道風(おののとうふう)ゆかりの柳」 というのがあった。
なかなか立派な木だ。
枝が春風にそよいでいた。

柳
小野道風ゆかりの柳

小野道風といえば、子供のころ聞いた 柳と蛙(かえる)の話を思い出す。
小野道風は三蹟(※)の一人に数えられる能書家だが、最初から字が上手だったのではない。
あるとき、蛙が柳の葉に何べんも跳びつこうと失敗していた。
しかし、蛙は何度もやっているうちに遂に柳の葉に跳びつくことができた。
これを見た小野道風は、何度も努力を繰り返せば目的を達成できることを学んだ。
それで、精進と努力を重ねて書が上手になった。

(※) 私は三筆と思っていたが、実際は三蹟というのだそうだ。

人は努力せなあかん、という教訓だ。

「ああ、あの柳か !
へぇー。
こんなものがあるのが京都なのだ。
だから京都は面白い。

しかし、思えば、小野道風は1000年以上も昔の人で、彼が見た蛙の柳がいまも残っているとは考えにくい。
よくあるのは、元の木は枯れたが親の木を挿し木などして、或いは親の木から採れた種から育てるなどして、いまに伝わるというものだ。
まぁ、多分そんなところかと思った。

はて、その柳の木があったのは東寺の境内だったのか??
立て札には 「歌舞伎 小野道風青龍硯 『柳ヶ池蛙飛の場』の舞台より」 とある。(※)
ふーん、そんな歌舞伎の演目があるとは知らなかった。

※ その演目、正しくは小野道風青柳硯(おののとうふうあおやぎすずり)といい、江戸時代の中頃(宝暦4年、1754年)に初演された人形浄瑠璃の演目だそうで、いまではほとんど演じられないという。

柳


調べてみると、小野道風と蛙の話はその劇の中での創作だという。
小野道風が見たのは 東寺の門前 〔或いは境内にある柳ヶ池畔?〕 でのことだ という設定になっているらしい。
それにちなんで、東寺の方が気ぃ利かして、柳の木を 〔門前ではないが境内の〕 水のそばに植えられたようだ。
面白い発想だ。
似たような話、熱海の寛一お宮の像、五条大橋の牛若丸と弁慶の像 ・・・ みたいなもんか。
創作だといって、別に目くじらを立てることもない。
小野道風が能書家なのは事実なんだし。
「ははは」と笑って楽しむのがよろしいようだ。
或いは、この柳の木を見て小野道風を思い出し(小野道風のように精進しなくちゃ)と思いなおすのもいいだろう。

このエピソードは、昔よく遊んだ花札にも描かれていた。
引き出しの奥にしまわれているはずだ ・・・ と思って探したらすぐ出てきた。( 👇 )
おお、なつかしい。

花札
昔よく遊んだ 花札 の一枚


2021.4.23










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名前が しょうじ なので障子が背景となっている。ペンネームはアルファベットで shochan(しょうじの愛称)だが数字 31 の由来は不明だ。

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