ほんまもんの鳴虎図
年が改まって、ことしは寅年。
それに因んできょうは、12年に一回、寅年のさいしょの三が日、つまり1月1日~3日だけしか公開されない中国伝来の『虎圖』を拝観してきた。

報恩寺山門
その 『虎圖』 があるのは、上京区の報恩寺。
図の左上にある 「四明陶佾(しめい・とういつ)」 というのは人名で、この図の画家の名前らしい。
明(みん)時代(1368~1644)の画家だろうと推定されているそうだ。
日本にあるほとんどの虎の絵は実物を見ないで書かれているが、この虎は実際、華南地方に生息する虎に似ていると、天王寺動物園の専門家が鑑定しているそうだ。
そりゃそうだろう、現地人の筆になるなら間違いなさそうだ。
しかも、この虎は毛の一本一本まで細かく、極めて写実的に描かれている。
この絵が 我が国に伝来した経緯は不明だが、文亀元年(1501)に後柏原天皇(在位、1500~1526)から報恩寺に下賜されたことはわかっているらしい。
その後、〔報恩寺とは目と鼻の先〕 聚楽第に住んでいた豊臣秀吉はこの絵を借りて聚楽第に持って帰った。(それは1587年~1591年頃のことと思われる)
ゆっくり鑑賞したいので貸してもらったのか優品なので強奪したのかその辺は不明だが、夜になって虎が鳴動し秀吉は一睡もできなかったという。
それで、翌朝早々にこの絵を寺に返したという逸話が伝わっている。

コレはほんまもんです !!
この絵の虎は静かに水を飲んでおり、鳴いたり吠えたりしていない。
しかし、それ以後この絵は「鳴虎」の絵として知られるようになったという。(笑)
12年に一度しか見られないということで、観光客がおおぜい詰めかけていた。
ご住職は「複製」と書かれた説明文を指差して「これはふだんの説明で、きょうのコレはほんまもんです !!」 と汗だくで強調されていた。(笑)
なにせ、12年間のうち 11年11か月と29日間というもの 複製が展示されているのだから。
(尤も、その複製画は非常に優れた仕上がりだとのことだが)
2022.1.1
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