期待外れのお寺
2022.6.14
京都に住む私は、京都の神社仏閣を結構訪れていると思うが、これまで苔寺(正式名称は西芳寺 )を訪れたことがなかった。
そしてきょう、ついに 苔寺 へ行く機会があった。
苔寺は名の知られたお寺だし、ユネスコの世界文化遺産にも登録されている。

世界文化遺産 『古都京都の文化財』 登録の17か所 (作図: shochan31)
それなのになぜ訪れたことがなかったのか。
いま、六月。
インターネットで簡単に予約を入れられた。
〔※ 去年からインターネットで予約できるようになった、但し前日までに予約しないと受け付けてくれないという制約はあるが〕
六月の梅雨の頃は一年のうちで苔が最も美しいというので、ラッキーだった。
17 か所もある古都京都の文化遺産で、私が行ったことないのはこの苔寺だけだ。
きょうこの苔寺で 17 か所 制覇達成 できると期待がふくらむ。
お寺に着くと、門前に大きな看板が立っていた。

「宗教的雰囲気の中で心静かにお参りいただきたい」 というお寺の熱い願い そこには
お寺の考えを理解してほしいという釈明でもあった。
数多 ある京都の神社仏閣で、このような対応をするところを他に知らない。
見あげた料簡だ。
しかも、往復はがきは、参拝希望日の2週間前必着だそうだ。
「何をするにもネットが主流の今、参拝のために「往復はがき」で予約するというのは不便だと思われるかもしれません。 では、不便というのは悪いことなのでしょうか」 とまで主張している。〔同寺ホームページ〕
まぁ、人には色んな考えがあるものだ。
参拝者にしてみれば、それで納得できなければ、参拝しない自由はある。
その方式を44年間続けてきたという。〔同寺ホームページ〕
だが、去年(2021年)の6月からインターネットで予約できるようにしたという。
44年間の堅持し続けた主張も、世の中の変化には対応しきれなかったらしい。
この看板はまだ昔のままだったが、私は前日(きのう)にインターネット予約した。

扉を半分閉ざした 苔寺の入口
11時の予約だったが、20分前に着いた。
扉を半分閉ざし、こっそりと受け付けてくれた。
5分ほど待って 「どうぞ」 と呼ばれた。
「本堂で写経し、その後は自由にお庭をご覧ください」
「写経用の筆ペンは記念にお持ち帰りください」
との簡単な説明を受けて本堂へ向かう。
写経の説明書と写経用紙、筆ペンを受け取り、さっそく写経。

生れてはじめての写経
目を閉じ、5回深呼吸して心を落ち着けて書くようにとの説明書の指示に従い、あらかじめ薄く印刷してある文字(漢字)をなぞって一字一字書く。
生れてはじめての体験だ。

本来なら読経 とお説教(法話)もあるらしいが、きょうはなし。
写経を終えて時雨 の止んだ苔の庭に出る。
置いてあったチラシには 「120 種類余の苔が自生している」 とある。
確かに、いろんな苔がありそうだが、ちょっと見た目にはわからない。

これが「苔寺」の苔 (一部)
庭は大きな池の周りをぐるり一周するようになっている。

一面苔に覆われた庭
ただそれだけで、夢窓疎石が配したという石組みも判然としない。
あれが 「朝日ケ島」、その向こうは 「夕日ケ島」 と言われても、はぁそうですか、程度。
私には苔の良さが理解できなかった。
チラシには、庭(チラシの原文は「境内の雰囲気」)を味わうヒントが三つ挙げてあった
なるほど。ひとつひとつ尤 もだ。
これが「禅」の教えか。
スティーブ・ジョブズはこのお寺(お庭?)の何に惹 かれたのだろうか。
池のほとりの斜面上にあるという 〔夢窓疎石作の〕現存最古の 「枯山水」 庭園は非公開。
結局、写経をして、池の周りを廻って終わりだった。
超有名な「苔寺」に行ける ! という期待が大きかっただけに、きょうの私は 期待外れのお寺 の巻でした。
2022.6.14
京都に住む私は、京都の神社仏閣を結構訪れていると思うが、これまで苔寺(正式名称は
そしてきょう、ついに 苔寺 へ行く機会があった。
苔寺は名の知られたお寺だし、ユネスコの世界文化遺産にも登録されている。

世界文化遺産 『古都京都の文化財』 登録の17か所 (作図: shochan31)
それなのになぜ訪れたことがなかったのか。
- お寺に文化財がなく、関心がなかったからかも。
- 庭が苔に覆われているというだけでは 見たいと思わかったからかも。
- 往復はがきで予約しないと入れない(参拝できない)からだったかも。
いま、六月。
インターネットで簡単に予約を入れられた。
〔※ 去年からインターネットで予約できるようになった、但し前日までに予約しないと受け付けてくれないという制約はあるが〕
六月の梅雨の頃は一年のうちで苔が最も美しいというので、ラッキーだった。
17 か所もある古都京都の文化遺産で、私が行ったことないのはこの苔寺だけだ。
きょうこの苔寺で 17 か所 制覇達成 できると期待がふくらむ。
お寺に着くと、門前に大きな看板が立っていた。

「宗教的雰囲気の中で心静かにお参りいただきたい」 というお寺の熱い願い
- 1970年代(昭和40年代)に観光公害が発生した。 具体的には ① ゴミが散らかる ② 自動車の排ガスで空気が汚れる ③ 騒音でうるさい ④ 交通事故が多発する。
- 対策を講じても抜本的解決にならなかった。
- それで、「寺院本来の宗教的雰囲気の中で心静かにお参りいただきたい」 という願いから、1977年(昭和52年)から 往復はがきによる事前予約制にした。
お寺の考えを理解してほしいという釈明でもあった。
見あげた料簡だ。
しかも、往復はがきは、参拝希望日の2週間前必着だそうだ。
「何をするにもネットが主流の今、参拝のために「往復はがき」で予約するというのは不便だと思われるかもしれません。 では、不便というのは悪いことなのでしょうか」 とまで主張している。〔同寺ホームページ〕
まぁ、人には色んな考えがあるものだ。
参拝者にしてみれば、それで納得できなければ、参拝しない自由はある。
その方式を44年間続けてきたという。〔同寺ホームページ〕
だが、去年(2021年)の6月からインターネットで予約できるようにしたという。
44年間の堅持し続けた主張も、世の中の変化には対応しきれなかったらしい。
この看板はまだ昔のままだったが、私は前日(きのう)にインターネット予約した。

扉を半分閉ざした 苔寺の入口
11時の予約だったが、20分前に着いた。
扉を半分閉ざし、こっそりと受け付けてくれた。
5分ほど待って 「どうぞ」 と呼ばれた。
「本堂で写経し、その後は自由にお庭をご覧ください」
「写経用の筆ペンは記念にお持ち帰りください」
との簡単な説明を受けて本堂へ向かう。
写経の説明書と写経用紙、筆ペンを受け取り、さっそく写経。

生れてはじめての写経
目を閉じ、5回深呼吸して心を落ち着けて書くようにとの説明書の指示に従い、あらかじめ薄く印刷してある文字(漢字)をなぞって一字一字書く。
生れてはじめての体験だ。

本来なら
写経を終えて
置いてあったチラシには 「120 種類余の苔が自生している」 とある。
確かに、いろんな苔がありそうだが、ちょっと見た目にはわからない。

これが「苔寺」の苔 (一部)
庭は大きな池の周りをぐるり一周するようになっている。

一面苔に覆われた庭
ただそれだけで、夢窓疎石が配したという石組みも判然としない。
あれが 「朝日ケ島」、その向こうは 「夕日ケ島」 と言われても、はぁそうですか、程度。
私には苔の良さが理解できなかった。
チラシには、庭(チラシの原文は「境内の雰囲気」)を味わうヒントが三つ挙げてあった
- 発見 ~見えないものを見る~ この庭を楽しんでいるのは私たち人間だけでなく、風、小鳥、石組みも息づいている。五感を研ぎ澄まして発見してほしい。
- 邂逅 ~きょうこの日を楽しむ~ 庭の姿は刻々変り、きょうの姿と同じ姿はこの先二度とない。きょうこのお寺に参ったのも何かの「縁」だ。
- 足跡 ~過去の偉人・先達の歩みを感じる~ このお寺は数々の偉人との「縁」があった。聖徳太子、空海、法然、夢窓疎石、織田信長、岩倉
具視 、川端康成、堂本印象、スティーブ・ジョブズ等々。
なるほど。ひとつひとつ
これが「禅」の教えか。
スティーブ・ジョブズはこのお寺(お庭?)の何に
池のほとりの斜面上にあるという 〔夢窓疎石作の〕現存最古の 「枯山水」 庭園は非公開。
結局、写経をして、池の周りを廻って終わりだった。
超有名な「苔寺」に行ける ! という期待が大きかっただけに、きょうの私は 期待外れのお寺 の巻でした。
2022.6.14